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本日の会議に付した案件
○国民生活・経済に関する調査
(「幸福度の高い社会の構築」のうち、ゆとり
とくらしについて)
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○会長(矢野哲朗君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、白眞勲君、鈴木陽悦君及び平山幸司君が委員を辞任され、その補欠として藤田幸久君、小林正夫君及び藤原良信君が選任をされました。
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○会長(矢野哲朗君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、「幸福度の高い社会の構築」のうち、ゆとりとくらしについて参考人からの意見聴取を行いたいと思います。
本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、早稲田大学社会科学総合学術院教授岡澤憲芙君及び文化人類学者・明治学院大学国際学部教授・ナマケモノ倶楽部世話人辻信一君に御出席をいただいております。
一言ごあいさつを申し上げます。
大変御多用のところ今日はこの調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日、本調査会が現在調査を進めております「幸福度の高い社会の構築」のうち、ゆとりとくらしについて忌憚のない御意見をちょうだいしたいと思います。是非参考にさせていただき、調査に生かさせていただきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
議事の進め方でありますけれども、まず、岡澤参考人、辻参考人の順にお一人三十分程度御意見をお述べいただきたいと思います。一時間程度の後、各委員からの質疑に約一時間程度でありますけれどもお答えいただきたいと存じます。その後、委員間の意見交換を行いたいとも考えていますけれども、時間の都合でその辺は私が対応させていただきたいと思いますので、御協力、御理解をお願いしたいと思います。
なお、御発言でありますけれども、着席のままで結構であります。
それでは、岡澤参考人からお願いをいたします。
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○藤原良信君
私からも御質問をさせていただきますけれども、専門的な岡澤、辻両参考人のお話をお聞きいたしまして、大変ありがとうございました。
そのことを踏まえた上で御質問をさせていただきたいと思うんですが、今、辻参考人お話しの中で、スローライフのお話で、地球のいわゆる環境問題の破壊というのはそういうことの流れの中で起きてきたんだということを明示をされました。
私は、大変恐縮なんですけれども、それとこれは別じゃないかと思うんですが、これは、幸せというのは、価値観というのは、それぞれの人間が世界観とか、あるいはある意味での地域観、ある意味では国家観、国民観という中で、いろんなそれこそ歴史的な歩みとか環境の中で構築をされていくんじゃないかと思うんですね。ですから、今、そういう意味でいったら、何でも一緒くたにされて論じられるところが多々あるんじゃないかなと感じております。
これは、競争というのがすべからく悪いわけではなくて、そこに僕は危惧を持つ題材が転がっているようにも思います。スローライフということは否定するものでもないし、大変それの価値というのは十二分に認識をしているし、大事なものであるということを踏まえた上で申し上げているんですけれども、そういう意味で、私があえて申し上げたことについて御意見を賜ればと思うので、御質問という形で取らせていただきたいんですけれども、例えば、例でいきますと、今運動会等々で徒競走をなくしているところが出始めているんですよ。それで、何でかというと、差が付くから駄目だと。例えばですね。それから、これはジェンダーフリーと言うそうですが、男性も女性も何も一緒なんだということで、ある高校だったと思いますけれども、更衣室を一緒にすると。こういうようなこと等をやっている実例があったりする。
こういうことというのは、僕は一緒くたにされているところには行っちゃいけないんじゃないかなというふうに思っている題材なんですけれども、スポーツの世界でいったら、やっぱりライバルがいて、よって競争するからこれは伸びていくというところがあるわけでありますけれども、ある意味での、先ほど岡澤参考人、辻参考人のお話の中で、一つのベースがあってゆとりというのが出てくるんじゃないかなと思うんですね。食べるものがきちっとそれなりに最低限のものがあり、それすら整っていなくてゆとりというのは生まれないんじゃないかなと思うんですよ。
この点も含めてお二人からお聞かせいただければと思いますし、それから、スウェーデンのお話をお聞きしまして、私もスウェーデンも何度かお邪魔しておりますけれども、スウェーデンの一つの、私はすべて分かっているわけじゃありませんけれども、やっぱりスウェーデンならではの、北欧ならではの環境条件があるんだと思うんですね。夜が長くて、それで、非常に恵まれていない、そういう意味での生産現場といいますか、食料も取れるわけでもないし。そういう中で、やっぱり夜が長いという中で、いろんな意味で知恵を一つの財産価値に付けていくというのが僕ははぐくまれてきたところなんじゃないかと思うんですね。ですから、そういう意味での国家観といいますか、そういう中から生まれてきた今のスウェーデンを含めた北欧のいろんな制度とか仕組みというのがあるんだと思うんです。
ですから、先ほど先生からもお話しになったけど、一長一短がある、それぞれに一長一短があると思うんです。ですから、北欧の良さを、世界のいいところの良さを日本の環境、風土にやっぱり適応させるものはして、ただ、全部がこれは例にはならないと思うんです。そういう意味でのとらえ方をした日本の今後の進め方というのが大事なんじゃないかと思うんですね。
そういうことを申し上げて質問とさせていただきますが、ただいまの私の考え方につきまして、いかがでございましょう。
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○参考人(岡澤憲芙君) もうそのとおりでございまして、北欧諸国でいいますと、工業化のプロセスの中で非常に大きなハンディを持っているんですよ。もう冬は寒い、長い、暗い。夜が長い。そして、余りにも寒冷地帯で、農作物が育たないんですね。そういう状況の中からどのような形で人々が生存を果たしていくかという、これはやっぱりアジア・モンスーン地帯の恵まれた環境で、四季があって、庭先に何かを植えたらば自然に何かが育っているというところとは、もうえらい違いですね。
逆に、面白いのは、そういう科学技術が発達するまでにはほとんど生存すらできない、つまり、先ほどの例でいいますと人口の四人に一人が海外に移民せざるを得なかったと。そういう逆境の中から短期間に比較的うまく福祉工業国家になったから面白いんであって、初めから気候状態がいい、天然資源がいっぱいあるというんだったら、別に好奇心もなかったでしょう、私が、ちょっと調べてみようかなという。だから、非常にハンディがある中で、ああ、ああいう逆境の中でもやればやれるんだと、政治や行政というのは可能性があるんだと私は思いましたね。
だから、基本的には政治と行政の知恵ですよ、はっきり言って。あれだけ貧しい、ディスアドバンテージアスな環境の中からこれだけ豊かな国をつくれたというのは、政治と行政がやはり相当の知恵を出したという、そういう可能性は物すごく評価しますね。
それと、あともう一つは、競争という概念は、もうスウェーデンのような、北欧諸国はどこもそうなんですけれども、生命線です、はっきり言って。とにかく、最近でこそノルウェーに石油が出て、また天然ガスが出てということであって非常に豊かな地域になっておりますけれども、そうでない前は本当にもう貧しさだけで、だからどのようにして生き残るか。そうでなきゃ、バイキングがあれだけ世界を回るわけないんですよ。祖国にないから取りに行ったわけですからね、そういうこと。それが一気にですね。
だから、スウェーデンの歴史なんか見ると、大国家だったわけですよ、昔のロシアまでずっと攻めていったわけですから。特に、バイキングなんというのは、アメリカ大陸も発見しましたし、非常に大きなエリアを持っていたんですね。それがナポレオン戦争のときにぴたっと戦争をやめて、それ以来百九十年間一個も戦争をしていないという。結構、自分たちの置かれている地理的条件とか天然資源の逆境ということを勘案しながら長期的な国家戦略を描いてきたという、そういう意味では、政治と行政というのはまだまだ知恵の出しどころがあるなと。
それで、日本にとっても面白いですよ。特に、資源がないわけですよね。そして、唯一頼れるのはヒューマンリソースだと。とするならば、政治や行政がどのような形で知恵を出していくかと。そのときに、数多くあるアイデアの一つなんですよ。
だから、同じような国というのは、世界に約二百八国があるんですが、同じ国というのは一つもないんですね。文化も歴史も伝統も全部違うんですから。その中から、大体、周辺国家ですから、先進例のいいところと悪いところを結び合わせながらつくっていく。ちょうど北欧諸国がそうなんですね。地中海と北アフリカで発達した古代文明が北上していく過程の中で、どん詰まりがスカンジナビア半島ですよね。だから、ちょっと前の歴史は、スカンジナビア半島って真っ白に塗ってあった、あれは氷河の時代だという。我々の世界史というのは、ほとんど氷河の時代だったですね。それが二十世紀になって急に豊かな福祉工業国家になったというのは一体何だろうかというと、結局は、地中海周辺から生まれた文明が徐々に北上して、そのプロセスでいいところと悪いところを結び合わせてその国土に合った発展シナリオを書いていった。
そういう意味では、日本と非常によく似ていると思うんですよね。シルクロードを通って順番に文明がずっと来て、中国大陸、そして半島から日本の奈良の正倉院に行って日本独特のカルチャーをつくっていったというのと非常によく似ているというんです。だから、文明の周辺からいいところと悪いところを取捨選択しながら独特のカルチャーをつくっていったという意味では非常によく似ていますね。実際問題としてあるんですよ、そういう表現は、スウェーデン人はヨーロッパの日本人だという。非常に国民性は本当によく似ていますね。内気でなかなか溶け込まないで、そして科学技術が好きで、そしてある種の完全主義みたいなところがありますから。だから、北欧で生活している日本の人はそんなに違和感がないというのは、ここへ行くとこういうのがあるだろうと、大体あるんですね。非常に発想は似ているカルチャーだと思います。
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○参考人(辻信一君) まず、幸福という言葉が相対的なんじゃないかという、もちろんそうです、僕は文化人類学者なんで、文化が百あれば幸せの概念も百あるわけですね。でも、極端に言えば、百人の人がいたら百の定義があるわけです。ですから、幸せとは何かという問いに対する答えはありません。
でも、僕が大事だと言うのは、幸せとは何だっけという、幸せとは何かという問いを持つということなんです、答えがどうであれ。そして、驚くべきことに、僕たちは最近、この幸せとは何かという問いを忘れていたんじゃないのか、政治家も、経済学者も。経済学の中に幸せなんという言葉は出てこなかったですよね。何のための経済だったんだろうというところを今こそ問う必要があるんじゃないのか。なぜならば、地球温暖化なんという事態ですよ。競争もいいですけれども、何やっていたって地球温暖化でもって人類の生存が危うくなったらどうします。
ところで、競争というのは僕も大好きなんですよ。僕ずっとスポーツやっていましたし、結構アグレッシブな方だったんです、僕、スポーツでは。でも、僕が言っているのは、僕ラグビーやっていたんですけれども、ラグビーがゲームが終わるでしょう、そうするとノーサイドと言うんですよ。敵、味方なくなるんです。
ところが、今、僕が問題にしているのは、人生を競争だと、あるいは社会の原理を競争にするということがどうなのかということを言っているんです。競争が社会の原理だなんという社会はろくな社会じゃない。長くもちません、そんなものは。そんなのは歴史を見たらすぐ分かります。
以上です。
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○会長(矢野哲朗君) まだまだ御意見はあろうと思いますけれども、予定された時間であります。以上で参考人に対する質疑を終了させていただきたいと思います。
岡澤参考人及び辻参考人、貴重な時間を割いていただきまして当調査会に御出席をいただきまして、ありがとうございました。
本日お述べいただきました御意見は今後の調査の参考にさせていただきたいと思います。本調査会を代表しまして心から厚く御礼を申し上げたいと存じます。
ありがとうございました。(拍手)
それでは、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十二分散会
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